【 セルフメンタルケア の 方法 】
心のメンテナンスとも言える “メンタルケア” を日々の生活の中に取り入れ、心の疲れを溜め続けないよう意識していきたい。
まずは『自分にとって良いと思うことをする』ということが大切になると思います。
手軽にできること から、少し面倒だけれど間違いなくストレス解消になる!といったことまで何種類か準備しておくと、ご自分の状態に応じた方法を選んで取り入れやすくなります。
自分のニーズを満たすと心に余裕ができ、穏やかな気持ちでいられるものです。
心のバランスを保つためのメンタルケアの参考になればと思います。
ストレスに関しての詳細は、こちら
◆「今、ここ」 に集中するように心がける
日常のあれこれ、さまざまな気がかりなど、頭の中が一杯なときほど、目の前のことに集中できず、思わぬ結果になりがちです。そんな時は、「今、集中することは何?」と自分に問いかけ、他のあれこれは自分の脇に置くイメージです。
仕事など外での出来事はその場所、机、引き出しの中、棚の上などに「明日!」と置いてくるイメージ、家のどこか安心する場所 や 遠くの山頂などに置き、目の前のことやその一瞬に集中するようにしてみます。そして単純作業など取り組みやすいことから始めると、一つ一つのことに集中して向き合える感覚が湧いてくるものです。
【メモやToDoリストの活用】
事前に考えておくべきことがあれば考えを整理して、書き残しておいてもいいかもしれません。たくさんのことをする必要があるときには、ToDoリストとして付箋などに書き出しておくと、脳内に記憶しておくスペースが必要なくなります。
◆「手洗い」や「うがい」で 心も浄化する
「汚い手を使う」や「口汚い」といった比喩がありますが、この特定の部位を清潔にしたくなるという仮説をたて、ミシガン大学の心理学者スパイク・リーが実験を行いました。
人は不道徳な行為をすると、下記の例のようにその行為を行った身体の部位を洗浄したい欲求が高まるという結果となりました。
例えば・・・
「全身につきまとう嫌悪感」
➡ 入浴してさっぱり洗い流す
「言わなくていいことを言ってしまった」と後悔
➡ 口をゆすぐ
「メールで余計なことを書いてしまった」と後悔
➡ 手を洗う
◆自分のためだけの時間をつくる
さまざまな出来事、家族も含めた他者のことを頭の中から切り離して、心が惹かれるものだけに意識を向けていきます。部屋の照明を落としてゆっくり過ごす、安心する場所でティタイム、映画(DVD)を見る、音楽を聴く、ヨガやストレッチをする、呼吸に意識を向ける・・・など、一日一度、数分からでも試してみてください。
自分のことを大切にする時間となり、心に余裕が生まれ、周囲への思いにも変化がうまれてくるかもしれません。
◆睡眠に入るときには、穏やかな気持ちで
布団に入ると一日の振り返りと反省のようなことをしがちな方は、寝つきが悪く、イヤな夢を見てしまうなど、目覚めも良くないことが多いように思います。
寝入る瞬間に何かを考えているかどうか…をまず意識してみてください。
そして、自分の気持ちが穏やかになるようなこと、例えば、楽しかった思い出、好きな人や動物、一日の中でちょっと嬉しかったこと、癒された場面などを思い浮かべていきます。
またリラックスする音楽を聴く、下記の呼吸に意識を向けるなども有効です。
目覚めた時に楽しいことが待っているようにして、そのことを考えて寝入ると、気持ちの良い目覚めから、その日を過ごすことがきます。
◆呼吸に意識を向ける
●マインドフルネス呼吸法●
心が動揺したとき、頭の中で思考がグルグルしている時など、自分の呼吸に意識を向けてみます。
呼吸によって、お腹や胸が、膨らみー縮みー膨らみー縮み していることに丁寧に意識を向けていきます。そうしているうちに、出来事が浮かんだり、思考が沸いてくることがあります。その時には「今は考えなくていいよ」と自分に問いかけ「呼吸に戻る」ということを繰り返していきます。
まずは、3-5分から始め、10分、15分と試してみてください。
●ゆっくりとした呼吸は心にも効果●
息を吸うときは交感神経が、“吐く”ときは 副 交感神経が優位になります。
ゆっくりと“吐く”ことに意識を集中することで、副交感神経が優位になり、身体はリラックス。内臓は消化・吸収を活発にするようになり、血液がきれいになり全身の血行がよくなるといいます。
身体心理学者の春木豊氏によると、吐き切った後のポーズを長くすることがポイントで、緊張するときはポーズが短くなるため、ゆっくりと吐きだしたあと、その状態でしばらく呼吸を止めて、それから吸うといことを注意すればいいといいます。
また、“順式腹式呼吸”にも効果があることがわかっています。
お腹をへこませながら息を吐き、吐き終わったあとにお腹をゆるめて息を吸う呼吸法です。
浜松医科大学名誉教授の高田明和氏は、呼吸をゆっくりすると血中の二酸化炭素の濃度が上がり、それが脳内でセロトニンの分泌を促す結果、心が安定して平静になることを明らかにしています。
◆「やる気が出ないとき」「気持ちを上げたいとき」
●「右手」を使う● 脳の前頭皮質の左右差を調べた研究によると
<左脳>“やる気”のように行動を生み出すときに活動
<右脳>“不安・恐怖・悲しみ”のように行動を抑えるときに活動
この結果をもとに、やる気が出ない、元気が出ないなどの抑うつ的な気持ちの時
『右手でボールを握る』『右手の開閉(グーパー)などの運動をする』と左脳の前頭皮質が刺激されて、やる気が高まり、ポジティブな感情が出る(テキサスA&M大学のエディ・ハルモンらの研究による)という即効的な効果が示されました。
●「血糖値」を上げる●
大事な打ち合わせがある、気乗りのしないお付き合いがあるなど誰しも億劫なことがあります。そんな時には、事前に甘いものを口にすることで血糖値を上げておくと気持ちが上がる可能性があります。
また、記憶力が良くなり、言語処理能力も高まるという効果も確認されています。フロリダ州立大学のマシュー・ガイロットらは、面倒な知的作業をしているときの脳のグルコース濃度を調べると徐々に減少し、その結果、意志力が弱くなることがわかったということです。
また、ガムを“噛む”ことは派生的な効果もあり、糖分が含まれたガムであれば血糖値が高まり、”噛む”という行為には、長期的な記憶力を高める効果もあるとされます。
◆「胸を張って顔は前を向く」と「前向き」な気分に
日常的に姿勢が悪いと抑うつ的になりやすいとされ、猫背気味で首が下を向く「うつむき加減」という言葉でも表現されています。
心のうつ傾向と、姿勢の因果関係は、どちらが原因と結果であるのかはわかりませんが、胸を張って顔を前に向かせると、本当に「前向き」な気分が生まれてくることも分かっています。
長時間の仕事や勉強をし続けるためには、背筋力が必要となり、背筋力が弱く猫背の人は、肺や胃腸が圧迫されるため、呼吸が浅くなって、胃腸の調子も悪くなる傾向があると言われます。
人体のセロトニンの95%は、腸が作り出していることをマイケル・D・ガ―ションが発見し、胃の不調や腸内細菌がうつ病や不安神経症の原因となる可能性があるともいわれています。
実際に、ストレスがかかっている場面での胃痛、メンタルが不調になっているときには便秘や下痢の症状が出るという声は、よく聞かれます。
●「抗重力筋」をはたらかせて姿勢をよくしセロトニンの分泌促進●
抗重力筋は、背筋をまっすぐに立てておくための首筋、背骨周囲の筋肉、下肢の筋肉、目を開けておくためのまぶた、表情を作るための顔面の筋肉、口を閉じる筋肉などのことを指します。
これらの筋に対して、うつ病と関係がある神経伝達物質であるセロトニンは、背筋をピンとしたり、顔にもハリを出すはたらきがあります。
◆「些細なこと」でも継続することで行動が伴うようになる
丁寧な言葉遣いを心がける、姿勢をよくする、甘い食べものを減らす、出費を記録するという小さなことでも継続して行うことで、意志力が強くなるという結果が出ています。
右手で食事や歯磨きをしている人に、左手を使うようにするという実験の結果、いつもと勝手が違うため、その動作に集中し、ひと呼吸おいて動作をすることになり、それが習慣化すると、すぐにも反応しそうな出来事が起きても、あまり反応しないようになったということです。
自分が何をしようとしているのかに気づくことと、実行するのが容易なことよりも、より困難なほうをすると、心の筋肉が鍛えられていくというものです。
◆上手く「べき思考」を活用してみる
いつも自分を駆り立てるような状況で「~するべき」となっていないでしょうか。
そういった場合、周囲の人にも自分の「べき思考」を求めていることがあり、実はそれがストレスのたまる原因を増強している可能性があります。
そんな「べき」思考も、「イライラしたら甘いものを口に入れるべき」「他人のペースを尊重するべき」「少しでもいいから休むべき」のように、上手く「べき」を使い、走り続けている自分に一旦ストップをかけることができるといいなと思います。
◆「書く」「声に出す」ことを意識して実践
イライラや不安、怒り、焦りといった感情は、言葉にすることをおすすめします。
ノートやチラシの裏などに感情のまま、言葉を書きなぐる方法や、一人になれる空間で、声に出して感情を吐き出すことで、本当の自分の気持ちに気づいたり、落ち着いて対処できる状態に繋がっていきます。
お手洗いや流し台で声に出し、その言葉を水と一緒に流してもらう感覚で試してみるのはいかがでしょうか。
発している自分を客観的に見て、「そんなに嫌な思いをしたんだね」とねぎらってあげると、罪悪感も持たずにすむと思います。
また、「よく頑張った」「大丈夫」などの言葉を声に出して、自分で自分の行動を褒めたり、励ましたりすることもセルフケアとして有効な手段です。
ありとあらゆること、一般的には喜ばしいこともストレッサーとなり得るのが日々の生活です。知らず知らずのうちに心が疲れ、身体にもダメージを与えていきます。
早めのケアと、日常的なケアを心掛けていただければと思います。
セルフケアだけでは足りないと感じた際は、ピースフルマインド・オーシャンをご利用ください。さまざまなことで心が疲れたとき、言葉などで表出することで、ファイルに整理されていくように心の中に収まりどころができ、少し余裕を持って日常の中で柔軟に対応できるようになっていきます。
※「何か困難な状況に遭ったり、仕事への意欲が希薄になってきたり、人間関係がうまくいかなかったりしたときにその答えを身体に訊いてみませんか」と山口氏は言います。
身体心理学では、心を脳だけに閉じ込めるのはやめて、代わりに「第2の脳」と言われる「腸」「皮膚」さらに行動力の源となり意志や感情を生み出す「筋肉」の3つの臓器を小さな脳・心のセンターとして考えます。
心の不調に関しては『身体にはたらきかけ』
身体の不調に対しては『心にはたらきかける、あるいは、くらしを改善してみる』
(「からだの無意識の治癒力:山口創著」より)